第2章 追憶 ★
「……これでおしまい。何かききたいことは…ある?」
ふぅ、と一息ついたあとレナはそう言った。
「…無理やり聞き出して悪かった」
ゾロはそう言ってレナの方を見た。
レナの目からは今にも涙がこぼれ落ちそうで…悲しげな顔をしていた。
「お前…泣けよ。我慢するんじゃねぇ」
ゾロはレナの頭をポン、と叩いた。
「ずっと我慢してきたんだろ。この船では我慢するな。それと…この話は誰にも言わねぇ」
そう言って、ゾロはその場を後にした。
レナは誰にも聞こえないように、静かに泣いた。
あの海賊船でも泣いたことはある。
初めてフリークに犯されたとき、両親が死んだと知ったときーーー。
本当は毎日泣きたかった。
泣いて、我を忘れて、狂えたら楽だったかもしれない。
けれどそうしなかったからチャンスをモノにし、親切な海賊に助けられ、今があるのだ。
レナは2年分、思い切り、しかし静かに泣いた。
ひとりにしてくれたゾロの優しさに、感謝した。