第2章 追憶 ★
連れて来られたのは海賊旗を掲げた大きな船だった。
甲板で作業をしていた船員がこちらに気づいた。
「お帰りなさい、船長!!今回も上玉ですね!」
「まぁな。今回は長持ちするといいんだが」
「前回は3日しか持たなかったですからね」
船長と呼ばれたこの男と、船員の会話が聞こえる。
(…きっとこの船でこき使われるんだわ。隙をみて逃げなきゃ)
今回は長持ちするといいとか、前回は3日しか持たなかったという会話をきいてレナはそう思った。
前回は3日で逃げ出したなら、逃げる隙はあるはずだ。
「この女を部屋に連れて行け。1時間ほどで戻る」
そう言って、男は船から降りた。
連れて来られた部屋は、生活に必要な設備がだいたいそろっていた。
小さめのテーブルに椅子が二脚、クローゼットにシャワールーム。大きなベッドまである。
窓はなかった。
「私はこの船で何をさせられるの?」
レナは船員の男にきいた。
「何って…」
男はニヤニヤしながら近づいてきた。
「俺の口からは言えないねぇ」
そう言って男は部屋を出て言った。