第2章 追憶 ★
夜は宴だということだったので、レナは調理補助という自分の仕事を全うすべくキッチンにやってきた。
お昼はナミと一緒に女部屋の掃除などをしていたので、昼食の手伝いはできていなかった。
サンジはすでに下ごしらえをしていた。
「サンジ…お昼は手伝えなくてごめんなさい。夜ごはんの準備は大変でしょう?私、何したらいいかな?」
「…今日の主役に手伝わせるわけにはいかないよ。座ってな」
何度か同じようなやりとりをしたが、折れてくれそうもなかったのでレナは仕方なく座って見ていることにした。
(…やっぱり、どう見てもサンジ1人でやっていけるよね)
今朝のサンジの発言は、サンジの優しさだとうすうす感じていたが、それは確信に変わった。
サンジは目にも留まらぬような早さで次々と調理を進めていた。
「サンジ、今朝はありがとう。私がこの船にいられるようにあんなこと言ってくれたんだよね。補助なんていなくても全然大丈夫そうじゃない」
「いや…そんなことねぇよ。たまーに手伝ってほしいときがあるんだ」
調理をしながら答えるサンジ。
第一印象はとても怖そうで嫌われているかもと思っていたが、そうでもないことがわかりレナは嬉しかった。
ナミとロビンに対する態度は謎だが。
「ありがとう、サンジ」
そう言ってレナは調理するサンジの背中を見つめていた。