第11章 恋
島が見えたというルフィの声が聞こえたのは、予定通り翌日の朝だった。
いかにも無人島というような、木の生い茂った様子が離れたところからでも分かった。
近づくにつれはっきりと見えてきたが、やはり港などはない。上陸できそうな浅瀬まで船を近づけると、目前に広がるのは真っ白な砂浜だった。
ナミは早速水着に着替え、海水浴をしようと張り切っている。
「綺麗なビーチ…」
レナは目の前に広がる景色に、感動していた。
「そういえばレナ、ビーチは初めてなんだっけ?」
ナミがレナに尋ねた。
「ううん。育った町には無かったんだけど…前にゾロに連れていってもらったことがあるの」
レナはそう言ってすぐ隣にいるゾロを見た。
「何ていう島だったかなぁ…あのとき見た砂浜も、とっても綺麗だったよ。ね、ゾロ」
「……そうだったか」
ゾロは心当たりがない。
恐らくサンジと行ったのだろうが、記憶が入れ替わっているのかもしれない。
(アイツと出掛けた記憶は…残ってるのか…)
ゾロは胸がチクリと痛むのを感じた。
そのやりとりを、少し離れたところで上陸の準備をしていたサンジが聞いていた。
(あれはレナちゃんと付き合う前に俺が連れて行ったんだ…覚えてくれてたんだ…)
サンジは少しの嬉しさと、虚しさが同時に込み上げてくるのを感じていた。
(レナちゃん…)
サンジは誰にも分からないようにレナを見つめるのだった。