第11章 恋
レナとゾロがまともに話をしたのは、それから三日後、レナが不寝番をしているときだった。
展望台で読書をするレナのもとに、ゾロがやってきた。
「レナ」
声をかけられて初めてゾロの存在に気がついたレナは、一瞬、ドキッとしたような表情になった。
「ゾロ…どうしたの?」
「…この間は…悪かった」
いつになく真剣な表情のゾロ。
「ううん、私もちょっと言い過ぎちゃった。ごめんなさい」
「レナは悪くねェ。それで…今日は話したいことがあって来た」
「…なに?」
レナは少しだけ、警戒した様子だった。
「……レナ。俺はお前が…好きだ」
ゾロの瞳はレナをまっすぐ見つめていた。
「レナの笑った顔とか…芯が通ったところとか…そういうのをひっくるめて全部……好きだ」
レナは自分の顔が赤くなっていくのがわかった。
「ゾロ……」
ゾロがこんなふうに言葉にしてくれたのは初めてだ。
付き合っていると聞かされたときも、ゾロの気持ちは聞いていなかった。
医務室でレナのどこが好きかきいたときもそうだ。
「ありがとう…そう言ってくれて、嬉しい…」
レナも、素直な気持ちを口にした。
「…ゾロって私のこと好きなのかなって…思ってたの…もしかして私がしつこくて、仕方なく付き合ってくれてたんじゃないかって…」
「それはねェな…むしろその逆だ」
ゾロはボソっとつぶやいた。
「だから、ゾロの気持ちが嬉しいよ…ありがとう」
「今は俺のことが好きじゃなくても…好きになってもらえるように努力する…必ず幸せにする…だから…俺のそばにいてほしい」
レナの心臓が早鐘を打っている。
ゾロのことは、好きかどうかわからない。
しかし今、ゾロにドキドキしているのは事実だ。
「うん…………よろしくね」
レナは恥ずかしそうに、返事をした。
ゾロのことをもう一度、好きになれるんじゃないかという気がしていた。
そしてこのあと二人は他愛ない話をしながら、朝まで過ごした。