第11章 恋
取り残されたゾロは一人、レナのことを考えていた。
サンジの話をするレナを、見たくなかった。
レナがどれほどサンジを好きだったか、一番よく知っていた。
だから、記憶がなくてもまたサンジに恋をしてしまうのではないかと不安だった。
いつも笑ってくれるレナだから、何でも笑って受け入れてくれていると思っていた。
記憶喪失になった原因を話さないことも、ゾロと付き合っているということも。
しかしレナも一人の人間だ。
すんなり受け入れてくれたように見えただけで、心の中では色んなことを考え、悩んでいたのだ。
ゾロはたった今、それに気づかされた。
そして追い打ちをかけるようにサンジからは調理の手伝いを拒否され、ゾロにはサンジの話はするなと言われる。
レナの気持ちを考えると、混乱するのは当たり前だった。
(あんなに感情的になるのも…無理はねェな…悪いことしちまった)
それと…
レナはゾロに対して恋愛感情があるかどうかわからないと言った。
それはそうだろう、実際にレナが好きだったのはサンジだ。
(…俺はクソコックのようなことはしねェ。必ずレナを守って…幸せにしてみせる)
しかし恋愛経験のないゾロは、「恋人らしいこと」と言われてもピンとこない。
女を抱くことはあっても、愛だの恋だのに現を抜かすということは今まで一度もなかった。
どうすればレナの心が自分に向くだろうかと、柄にもなくあれこれ考えるゾロなのだった。