第9章 代償 ★
船に到着すると、船番のチョッパー以外はまだ誰も戻って来ていなかった。
途中ナミと会ったので、皆を呼び戻すよう頼んでおいた。
ゾロはすぐに医務室にレナを連れていった。
チョッパーはレナを見て、何があったのかはだいたい察したようだった。
チョッパーの手当てが終わるのを甲板で待っていると、皆次々と戻ってきた。
皆船に着くなりレナの事を聞いてきたので、医務室にいるとだけ答えた。
最後に戻ってきたのはサンジだった。
「レナちゃん!!」
サンジは慌てた様子で駆け込んで来た。
「レナは今医務室に…」
ナミが言うのを遮って、ゾロはサンジを殴った。
「ちょっ…ゾロ!?どうしたの!?」
ナミが驚いてサンジに駆け寄り、他の仲間も驚いた顔でゾロを見た。
ゾロが間髪入れずにサンジの胸ぐらを掴んだ。
「何だクソ野郎、こんなときに「テメェ昨日何してた」
サンジの言葉を遮り低い声でサンジに詰め寄った。
全員が、二人に注目していた。
「…そんなことよりレナちゃんは無事なのか。早く会わせてくれ」
「昨日何してたって聞いてんだよ!!」
「……どけ」
ゾロが声を荒げるも、サンジはそれに答えなかった。
「女と会ってたんだろ!?違うのか!?」
「……」
サンジは何も答えなかったが、顔色が変わったのがわかった。
「レナは男に襲われたんだ!テメェが昨日会った女の男が仲間5人を引き連れて!!自分の女とその浮気相手を懲らしめるためにな!!」
ゾロはサンジの顔の前で叫ぶように言った。
サンジは目を見開いた。
こんなに取り乱したゾロを見たことがなかった仲間たちは、ただただ見ていることしかできないようだった。
「ウソだろ…そんな…」
「ただのチンピラだ、レナを襲ったのは!だがレナはそんな弱いチンピラにも敵わねぇんだよ!テメェが守らなきゃいけねぇのにテメェのせいで襲われてどうすんだ!!」
サンジはがっくりと膝をつき、肩を震わせた。
「テメェにレナを守る資格なんかねぇよ」
ゾロがそう言ったとき、チョッパーが医務室から出てきた。