第9章 代償 ★
「ボス、連れてきました」
ボスと呼ばれたその男は、30代くらいの体格の良い男だった。
「へぇ…なかなかいい女じゃねぇか」
その男は舐めるようにレナを見た。
叫んでも無駄だと悟ったレナは、その男を見た。
「私に…何か用でもあるの?」
震える声で尋ねた。
「お前に恨みはないんだがなぁ…お前の男が悪いのさ、人の女に手を出したんだから」
「……え?」
レナは耳を疑った。
「金髪でグル眉のヤツ、お前の男だろう?今日は仲良さそうに歩いてたみたいじゃないか」
「……」
「俺にも女がいるんだが…浮気性でな。昨日もまた男を連れ込んでたのをコイツが見たって言うんだよ」
そう言って、男は隣に立っている太った男を指差した。
「いつもは大目に見てやってるんだがなぁ…今回は虫の居所が悪くてな。連れ込んだ金髪男を見張らせてたら、今日は女を連れて歩いてたって訳だ」
男は半笑いでレナを見た。
「それがお前だ」
そう言って男はレナが着ているTシャツをビリビリと破いた。
「やめてッ!!そんなの、何かの間違いよ!」
サンジがそんなことするはずない。レナと付き合う前にナンパをしているのを見たが、付き合ってからはそんなこと絶対にしないと信じていた。
必死の抵抗も虚しく、レナの上半身は下着だけになった。
非力な上に羽交い締めにされているので、抵抗などできるはずもなかった。
「そう言われるとこっちが悪いみたいじゃないか。お前の男が俺の女を抱いたんだから、俺もお前を好きにしていいだろう」
男はレナのブラジャーを上にずらし、露わになった乳房を鷲掴みにした。
「っっ!触らないで!!サンジがそんなことするはずないっ!」
レナは叫んだ。
このままだと自分が何をされるのか、わかっていた。
過去のことがまた繰り返されるのだろう。
もう、あんな思いはしたくない。
レナは叫んで暴れることくらいしか、できることがなかった。
ボスと呼ばれる男は、レナを羽交い締めにしていた男に指示し、レナをすぐ傍にあった汚れたマットの上に寝かせて馬乗りになった。
「しかし…あの金髪男も悪い奴だな…こんなに良い女がいるのにわざわざ浮気なんざするとはな」
そう言って男はレナの胸に手を伸ばした。