第9章 代償 ★
(遅せぇな、レナちゃん…)
どのくらい待っただろうか…
レナと一緒にいたときは明るかった空も、夕暮れに近い色になっていた。
サンジはレナと別れたその場所で、ずっとレナを待っていた。
(待ってるって伝えてなかったからな…先に船に戻っちまったのかもな…)
サンジはレナを見過ごすはずがないと思ったが、人通りも多いためレナがサンジに気づかずに通り過ぎてしまうことも十分あり得る。
サンジは船にレナがいることを願いながら、急ぎ足で船へと向かった。
これだけ時間が経っているのだから、戻っていないはずがない。
もしレナがいなければ…そんなことは考えられなかったが、サンジは妙な胸騒ぎがするのを感じていた。
ーーー
船にはもうほとんど皆戻ってきていた。
いつもならもう夕食を作り始める時間だった。
「…レナちゃん、戻ってねぇのか?」
サンジは船番のチョッパーに尋ねた。
「まだ来てねぇぞ!サンジ、一緒じゃなかったのか?」
サンジは先程の経緯をチョッパーに話した。
「何かに巻き込まれたんじゃ…ちょっと探してくる!今日は晩飯遅くなるって皆に伝えておいてくれ!」
サンジはそう言って船を飛び出して行った。
「どうかしたのか?チョッパー」
晩飯と聞こえたからか、ルフィがチョッパーの元へやってきた。
「ルフィ!大変だ!レナが何かに巻き込まれたかもしれない!」
騒ぎを聞きつけ、船にいる仲間たちが集まってきたところでチョッパーがサンジからきいた経緯を話した。
真っ先に飛び出して行ったのはゾロだった。
船に残された仲間は皆それに驚きつつ、誰がどの辺りを探すかを決め、船番のチョッパーを残し船を出た。