第8章 過ち ★
ナナの自宅を出たのは、もう夕方になろうかというときだった。
(買い出しする暇はねぇな…明日、レナちゃんを誘おう)
そう考えたサンジは、船へと足を運んだ。
(もう二度と…裏切らねぇ…これからはレナちゃんのために生きるんだ)
今日のことは墓場まで持っていく代わりに、そう心に決めたのだった。
ーーー
船に戻ったサンジは、夕食の準備に取り掛かった。
レナはまだ戻っていないようだった。
もう料理もほとんど出来上がったとき…
ガチャ…
「サンジ…ただいま」
扉が開き、レナの声がした。
「おかえり、レナちゃ……!?髪!切ったの!?」
サンジはレナを見て驚きの声をあげた。
レナの腰まであった髪は、肩の辺りまでバッサリと切られていた。
フワッとした髪が、女性らしかった。
「気分転換に切っちゃった。…変かな?」
サンジはふるふると首を横に振った。
「…すげぇ可愛いよ。…何て言うか…天使みたいだ」
少し恥ずかしそうにそう言って、レナを抱きしめた。
「今日は楽しかった?」
「うん…遅くなってごめんなさい。もう夕食、出来上がっちゃったよね」
抱きしめられたまま、レナは答えた。
「いいんだ…レナちゃん、明日は俺に付き合ってくれるかい?」
「…うん!」
サンジは抱きしめていた腕を緩め、レナを見つめた。
そして…久しぶりの、キスをした。
サンジはレナへの愛をキスで表現するように、優しく、激しく、貪るようなキスをした。
今日の過ちは、一生をかけて償おうと自分に誓った。
長いキスが終わったとき、レナが口を開いた。
「サンジ、明日不寝番…だよね?」
「あぁ、そうだよ」
「サンジにね、聞いてもらいたいことがあるの。私の…過去のこと」
「…わかった。待ってるよ」