第8章 過ち ★
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サンジは眠るナナを、ベッドの上で後ろから抱きしめていた。
やはりナナは、レナに似ていた。
あのあとサンジは二度、ナナとした。
立ったまま後ろから突いたり、座ったサンジの首に抱きつくような形でしたり、全てナナの顔が見えない体位だった。
完全に身代わりにするのはナナに失礼だと分かっていたので、ナナにも気持ち良くなってもらえるよう精一杯のことはしたつもりだった。
サンジはゆっくりと身体を起こし、シャワールームへ向かった。
冷たい水を頭からかぶると、だんだんと後悔の念が押し寄せて来た。
(俺は……何てことを…)
どんな理由があったにせよ、他の女性を抱くなんて、してはいけないことだった。
このままだと自分を押さえられないなどというのは、ただの言い訳だ。
もう二度と、こんなことはしないとサンジは心に決めた。
(レナちゃん…早く会いてぇ…)
寝室に戻ると、ナナは起きて服を着ているところだった。
「…もう、行くの?」
「…あぁ」
「レナってだあれ?」
ナナが平然ときいてきた。
「…何でその名前を…」
「シてる最中呼んでたわよ…何度も」
「…ごめん……彼女なんだ」
ナナは驚いた素振りを見せなかった。
「…それじゃあお互い様ね。私も男いるのよ。喧嘩してムシャクシャしてあなたのこと誘っちゃったけど」
ナナは堂々とそう言った。
「私、よく浮気しちゃうの。罪悪感からカレに優しくできるからね。私が言うのもなんだけど…浮気しちゃだめよ」
サンジはクスリと笑った。
「もうしないさ…二度と」
そう言ってジャケットを羽織った。
「今日はありがとね。もう会うことはないと思うけど。…すごく、良かったわ。彼女も喜んでるでしょ」
サンジは苦笑した。
「…こちらこそ。それじゃあね…ナナちゃん」
そうしてサンジはナナの自宅を後にした。