第8章 過ち ★
「アイツと喧嘩でもしたのか」
ゾロがそうきいてきたのは、昼食の片付けも終わり、甲板で洗濯物を干しているときだった。
「喧嘩っていうか……まぁ…いろいろね…」
レナははぐらかしたが、ゾロにきいて欲しいという思いもあった。
しかし全部知っているゾロとはいえ、何が起こったかを話すわけにはいかない。
「私が悪いの…過去のことが邪魔して、先に進めなくて…サンジにも迷惑掛けちゃった」
レナの言葉の意味を、ゾロは理解した。
「もうアイツに全部話してもいいんじゃねぇのか?」
「…うん…それがいいと思う…でもやっぱり…話すのが怖くて…」
「大丈夫だ」
ゾロはポン、とレナの頭に手を置いた。
「アイツなら全部受け止めてくれるだろ」
そう言ってゾロはその場を後にした。
(ゾロがそう言ってくれると、ほんとに大丈夫な気がしてきた…)
レナはサンジが不寝番のときに全て話そうと決心した。
しかし、レナは知らなかった。
このときすぐにサンジに打ち明ければよかったと後悔する日が来ることを。
そして、次のサンジの不寝番のときは状況がガラリと変わっているということを。