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君が笑う、その時まで

第14章 夏のハジマリ


 準決勝の一試合、秀徳対銀望の試合が先に終わる。
 ここはやはり<東の王者>が気を緩めることなく大差で勝利した。

 残るもう一試合――誠凛対正邦は、幾度となく波乱の試合展開を見せていた。
 クセのある正邦ディフェンスに序盤から誠凛は苦しめられていた。
 特に誠凛のルーキーである火神君は同じ1年生の正邦10番・津川君の徹底的なマークに遭い、ファウルを4つとっていた。

(しかしまー。こんなにも分かりやすい展開だとはねー……)

 仮に誠凛がこの試合を制したとして、火神が5つめのファウルを取った時点で火神なくして秀徳との決勝戦は必然的に負ける。

 案の定、誠凛は交代を申し出てきた。
 それによって火神、黒子の1年コンビがベンチに下げられる。

 今や、誠凛は2年生によるチームオフェンスに切り替わっている。

 初めはそのプレーに違和感を感じたが、すぐさまこれが誠凛のオリジナルスタイルであることを思い出した。


 先輩の意地というヤツで誠凛が異例の追い上げを見せる。

 そして、再び誠凛の交代。現れたのは――


「やっぱり君だね。黒子……」

 一旦ベンチに下げられたことで黒子のミスディレクションは効果を取り戻していた。

 そして黒子のパスで繋がれたボールが日向順平に渡る。

 残り、数秒。

 放たれたボールは高く、きれいな放物線を描いてゴールネットを揺らす。


 直後、試合終了のブザーが鳴った――
 
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