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君が笑う、その時まで

第14章 夏のハジマリ


 真下のコートに入ってくる、ユニフォームを着た選手達。

 中央で区切られた2つのコートには4校の選手たちが練習を始める。

 インターハイ予選Aブロック準決勝――

 第1試合  誠凛高校 対 正邦高校

 第2試合  秀徳高校 対 銀望高校


 この2つの試合の勝者が決勝のカードとなる。
 一方の試合の結果は読めているのだが、もう一方の試合は……正直迷っている。

 チームオフェンスの誠凛か、堅固なワンツーマンディフェンスの正邦か。

 古武術の体の使い方をバスケに応用した正邦のディフェンスに誠凛はきっと苦しめられるだろう。

 それに……誠凛は昨年のカードで大敗を喫している。
 これには今の2年生自体がどれだけ実力をつけてきたかにかかっている。

 当然、<北の王者>と称される古豪の正邦は昨年よりもレベルアップしているはずだ。

 だから、読めない。

「伊織、眉間に皺寄りすぎだぞ」

 隣に座る笠松さんに声を掛けられ、私はぱっと表情を変えた。

「いやー、誠凛と正邦との試合の得点差が読めなくて……また大差で負けたら狂ったように笑ってやろうと思いましてね」

「ったく、お前は……」

 笠松さんが呆れたような目で私を見る。
 その時、屋内にブザーがけたたましく鳴り響いた。

「始まるッスよ、2人とも!」

 黄瀬の一声に私たちはコートへ再び目を向けた。



 準決勝が、始まる――

 


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