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君が笑う、その時まで

第9章 練習試合


 言った。
 言ってしまった。
 
 屋外の水場に辿りつき、目の前の蛇口を捻ってそのまま流水を被った。
 火照った体にしみる水道水の冷たさが今は心地よかった。
 文字通り頭を冷やしながら、私は自分の言葉を反芻する。
 
 何故、今更あんな事を言ってしまったのだろう。
 後悔しか残らないというのに。


「――……ちゃん、伊織ちゃん!」

 頭上から降ってきた声にはっと我に返ったのと蛇口の水が止まったのはほぼ同時だった。

「…森山、さん……?」
 顔を見上げた先に、森山さんの強ばった表情がおぼろげながらあった。
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