第30章 誓い
◆◇伊織視点
その公園の奥にはフェンスで区切られたストバス用のコートがあった。
フェンスで囲まれた一区画には、ベンチと一面のコート。
こぢんまりとした空間だが、今の私には十分すぎるほど広い。
入念にストレッチを行って体をほぐし、鞄からボールを取り出す。ドリブルでボールの質感を確かめると、乾いた音が心地よく聞こえた。
伊織「……よし」
ボールを掌に収めて、そのままフリースローラインへと立つ。
音無の動作でボールが放たれる。――ゆっくりときれいな放物線を描き、音もなくリングをくぐって地面に落ちた。
落ちたボールを拾い、今度は一歩下がってまたシュートの姿勢を構える。シュートを打ち終わるたびに一歩、また一歩と下がっていく。
そうしていつの間にかセンターラインにたどり着いていた。