第29章 ひとつの確信
リ「だけど捨てるって…だけどアレは黒子君が試行錯誤の末身につけたスタイルなのよ」
そう簡単に捨てられるわけがない。
木「ああ。だから捨てるってもベクトルはあくまで変えずに――」
ふと窓越しの景色を覗いた鉄平の表情がふっと和らぐ。
木「いや……もう大丈夫だろ」
リ「えっ?」
鉄平の確信めいた一言に訳が分からず動揺してしまう。
そこへ外から駆け足の音が近づいてきた。
窓に映った、淡い髪の男の子の颯爽と走る姿。
その表情には強い意志が滲(にじ)み出ていた。
リ「……いいなぁ、ホント男子って」