第28章 re:start
そう言った直後のことだ。
木「どうしてそう思うんだ?」
彼はまじまじと私を見てきた。
彼の言動はいつだって裏がない。
満足したときには笑い、
間違ったことをすれば注意し、
気になることがあればすぐに訊ねる。
彼の真っ直ぐな視線を向けられて、私は咄嗟に「どーでもいいでしょ」と口をすぼめた。
彼は困ったようにへらっと笑った。
木「別に責めているわけじゃない。ただ、どうしてあいつらのバスケをくだらないと思うのか、不思議でたまらなくてな」
彼はいつだって真面目だ。私にとっては何気ない一言も、彼はいつも正面から向き合う。
強いて言うなら、私は彼のそんなところが怖い。
私の避けたい部分を、彼は必ず突いてくる。
伊織「バカらし。初戦で大敗したのを後の試合に引きずるバカがどこにいる。あんなバスケで全国狙えると本気で思ってるの」
私はまた悪態をついてしまう。
それで彼が不快を感じてしまうとすれば仕方のないことだ。糾弾したって構わない。
それでも、彼は私を責めることはなかった。
木「でも、まだまだこれからだろ」
彼の大きな手が私の頭をぽんと撫でた。