第26章 逃げ足とメガネ
着替えを済ませ、更衣室を出る。
いつもなら諏佐と一緒に寮に戻るが、今日は違った。
今「諏佐。今日は先に帰っててくれへんか?ちぃと用があるねん」
諏「?……ああ」
こんな時余計な詮索をしない友人は重宝すると感謝しながら、ワシは急いで靴を替えて校舎を飛び出した。
さっき桃井と話していて、ふと視線を逸らしたときに見つけてしまった。
ほんの一瞬だけ視界を横切った、懐かしさを感じる後ろ姿。
桃井の話と相まってそこでようやく確信した。
今(……見つけた。)
どこの制服を着ていようが、髪の長さが違っていようが、雰囲気は昔と少しも変わっていない。
彼女は紛れもなく――