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君が笑う、その時まで

第25章 お見舞い


伊織「――それでぎゃあぎゃあうるさかったわけか」
 彼女は「にしし」と笑って僕たちの前に冷や麦茶を出してくれた。

火「ぎゃ、ぎゃあぎゃあだとっ!?」
伊織「だって事実でしょ」

 だからこれ以上騒がないでね。と彼女は火神君の額をぺちんとはたいた。
 火神君は今にも怒り出しそうなくらいわなわな震えている。
 このままではまずいですね。

黒「それより具合は大丈夫なんですか?」
伊織「ん?これが大丈夫じゃなさそうに見える?」
緑「フンッ。この前よりかは大分顔色が良くなっているのだよ」

 そう言って緑間君は差し出された麦茶をごくりと飲んだ。
 僕もせっかくいただいた麦茶に口をつけつつ、目の前の緑間君がどうしても気になっていた。

黒「それにしても緑間君がこんなところにいるなんて…珍しいですね」
 そもそもどうやって彼女の家を知ったのでしょうか。

緑「俺はただ届け物をしに来ただけだ」
火「届け物?」

 火神君が怪訝そうな顔つきになる。
 僕も緑間君のいう「届け物」が分からず首を傾げていると、傍らの彼女は嬉々とした声を上げた。

伊織「お!今日のおは朝占いはどうだったのかねー?」

 おは朝ですか……。彼のことです、彼女のラッキーアイテムを渡しに来たのでしょう。

伊織「フフ。緑間君てば毎日ラッキーアイテムを持ってくるんだよ?」
 伊織さんが見事なしたり顔をして僕にそっと耳打ちした。
伊織「そりゃもうパンダのキーホルダーに星柄のハンカチ…。そのうち大きなクマのぬいぐるみなんかがきたりして」
黒「よくそんなものを持っていますよね」
伊織「まったくねー。あまりに乙女チックで驚いちゃうよホント」
緑「そこの2人、聞こえているのだよ。」
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