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君が笑う、その時まで

第25章 お見舞い


 ………………。

 いなさそうですね。
 そもそも彼女の席がどこなのかすらわかりませんが、全体を見回したところ彼女らしき人物はいませんでした。
 学校を休んでいるのでしょうか。

 このまま探していても埒(らち)があきません。
 誰かを捕まえて聞いてみることにしましょう。

黒「すみません」
生徒「うわあっ、いつからそこに!?」

 ……この感覚、毎度のことですがちょっと傷つきますね。

黒「あの、大前伊織さんはいますか?」
生徒「大前?……ああ、大前さんね。今日も休みだってさ」
黒「今日“も”、ですか。何か聞いてませんか?」
生徒「俺はよく知らないけど。ああ、岸本なら何か知ってるかもな」
黒「キシモトさん、ですか?」

 彼は教室を見渡し、「ああ、あそこにいるヤツな」と言って教室の片隅でひとり本を読んでいる女子生徒を指さした。

生徒「おーい岸本ー!ちょっといいかー?」
岸「!?」

 彼に大声で呼ばれた彼女は廊下にいる僕からでも分かるくらい大きく肩を震わせました。
 そしておそるおそる振り返り、僕たちの方を見ました。

生徒「大前のことで聞きたいことがあんだとー」
岸「伊織ちゃんの……?」
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