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君が笑う、その時まで

第23章 微熱に注意


◆◇高尾視点

 練習終わり。

 いつものようにチャリアカーで真ちゃんと一緒に帰っている。
 アイツはいつも荷台で悠長に爪を磨き、俺は練習で疲れ切った体に鞭打って汗水流して漕いでいる。
 毎度おなじみの光景だ。

高「っくそー……何で今日も俺が漕いでんだよ」
緑「じゃんけんに負けたから仕方ないのだよ」
高「てか、毎度毎度じゃんけんに勝つお前もどーなの!?」
 たまには俺の苦労をお前にも味わせてやりてぇよ……。
 
 ぐ、ぐぅー……。

 腹減ったな。このままアイツん家まで漕ぎ続けてたら途中で倒れるよな、絶対。

 こうなったら行くっきゃないっしょ。

高「なぁ真ちゃん、」
緑「何だ?」
高「ちょっと買い食いしていかね?あんなきっつい練習の後じゃ腹ぺこぺこでさー」
緑「断る」
高「えー、ちっとくらいいいじゃんかよー。でなきゃ俺、もう漕げねぇんだけど?」

 半分は本当で、半分は嘘だ。けれどこれぐらい大袈裟に言わないと真ちゃんはそう簡単には折れてくれない。あとは俺の演技力にかかっているってことだ。

緑「…………チッ。分かったのだよ」

 あ、今コイツ舌打ちしたな。けどま、「分かった」っていうことは俺の必死の懇願に折れたってことだよな。

 おしっ。久々にあの店の名物食って元気出すとすっか!!
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