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君が笑う、その時まで

第23章 微熱に注意


◆◇高尾視点

 整列がかかり、号令と共にきつい練習が終わる。

 バスケ部入って最初のうちはロードワークの途中で吐いたりした俺も、今ではきっつい練習に最後までしがみついていられるようになった。

 練習終わりにふと周りを見回せば昔の俺のようにすっかりバテきってるヤツもまだまだいる。けれどもそれはあくまで三軍のヤツらの話だ。一軍、とりわけレギュラーは酷な練習を酷とも思わないまま練習後に自主練をこなしていく。その中には当然アイツもいる。

 まったく、かなわねぇよな。
 
 アイツはいつも俺の前にいる。俺が息切らしてる間にもアイツは涼しい顔してシュートを打ち続ける。

 アイツには才能がある。
 俺みたいな凡人がいくら努力しようが、決して届かない高みにアイツは確かにいる。

 昔は――アイツがいた帝光中に全く歯が立たなかったことをずっと根に持っていて、高校に入ったら絶対倒すと強く握った拳も、今じゃアイツにパスを送る掌になっている。

 羨ましがっているだけの存在だったアイツも近くで見れば周囲もドン引く変人で、ツンデレな性格も可愛げがあるだなんて思ってみたり。

 不思議だよな。

 初めて会った時お前はちっとも俺のことを覚えてなくてショックだったけど。

 一緒のチームになって、
 きっつい練習を毎日こなして、
 同時にレギュラーに入って、
 試合に出るようになって、

 いつの間にか隣にいるのが自然なくらいの間柄になっているなんてさ。

 だから思うんだ、アイツの〈相棒〉として俺ももっと頑張らなきゃってな。
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