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君が笑う、その時まで

第22章 チェシャ猫と呼ばれた少女


「大前さんてよく笑うよね。」

 とは何度も言われてきた。
 
 教室中見渡せば誰だって笑っている。

 彼らには他愛ない話を言い合える友人がいて、しかも今日一日限定ではなくそんな日々が明日も明後日も続く。


 いつのことだったろう、笑顔が素敵だと言ってくれた人が身近にいたのは。


「伊織はいつもそうやって笑ってくれればいい。」


 そう言ってくれた人は私のそばにはもういない。

 あの頃、毎日のように感じていた温もりも、安心感も、幸福も、

 

 ――今ではどこにも見つからない。
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