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君が笑う、その時まで
第22章 チェシャ猫と呼ばれた少女
人をはぐらかし、真実を誤魔化す。
その姿は不思議の国に彷徨った者を楽しげに傍観するチェシャ猫のようだ――と、いつしか〈チェシャ猫〉という洒落(しゃれ)た異名をつけられた。
初めこそ物珍しさから近寄る物好きもやがては空言を忌避していった。
見る者聞く者を不快にさせるという大義名分がある以上、私を倦厭(けんえん)するのはいたしかたないことだ。
それでも私は嘲笑をやめない。
ある時は誇示し、またある時は自嘲するために。
そうやって私が私を守るために。
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