第6章 伝言"ゲーム"じゃありません、の段。
「そ、それって暗号だったんですか?」
「いや?」
「え、じゃあどういうことですか?」
「んー…どうと言われても…乱太郎、きり丸、しんべヱときたらこうなるな、って言う…。山田先生からの伝言はきっと、本日の午後の会議は学園長の都合により中止、っていう内容だ」
「は、はぁ…」
椿は驚きすぎてそれ以上何も言えなかった。
なんでもないことのようにそう言ってのけ、呆然とする椿の視線をきょとんとした顔で受け止める土井先生。
自分の好きになった人はある意味とてもすごい人なのかもしれない。
一を聞いて十を知る、という言葉があるけれど、これはそういう問題ではない。
「――土井先生って…」
「ん?」
「土井先生って、先生なんですね…」
尊敬の眼差しに変わった椿の視線に、土井先生は苦笑いを返す。
「まともな生徒がいないからな。仕方ない」
「…私にお手伝いできることがあったらなんでもしますから、おっしゃって下さいね」
「ああ、ありがとう」
颯爽と歩いていく後ろ姿に、椿は改めて熱いため息を漏らすのであった。
~おわり~