第6章 伝言"ゲーム"じゃありません、の段。
「読者の皆様こんにちは。一年は組の乱太郎です」
「きり丸です」
「しんべヱです」
ぺこり、と三人は揃ってお辞儀する。
「ちょっと間があいたよね」
「そうだなー。ま、オレはバイトがはかどって助かったけど」
「ぼくはお菓子食べてた~」
「しんべヱ、ちょっと太ったんじゃない?」
以前よりもふっくらしたしんべヱのほっぺを乱太郎ときり丸はつんつんとつついた。
「今回のお話は、原作沿い、というものらしいです」
「えーっと?『落第忍者乱太郎 第1巻「やってきました忍術学園の段」より』だってサ」
渡されたかんにんぐぺーぱーを乱太郎ときり丸が覗き込む。
「1巻って、もう30年も前なんだよね」
「そうそう」
「このときはまだぼくたちのしゃべり方がイマイチ定まってなくて…」
「土井先生も山田先生もだけど、関西弁が入ってくるよね」
「しんべヱのセリフ、今聞くと違和感しかないぜ」
「ふふふ」
きり丸の言葉にしんべヱはなぜか照れ笑いをする。
「それにしんべヱの頭身が高い」
「わかるー! 三頭身あるもんね。最近のと比べるとかなりすっきりしてる」
くすくすと乱太郎が笑って言う。
「まぁ全員に言えることだけどな。土井先生の髪の毛だって、30年前の方が少ないし」
「30年であんなにもじゃもじゃになるとはね」
「ねぇねぇ、そろそろ始めた方がいいんじゃない?」
しんべヱが二人の袖を引っ張った。
「っと、そうだね」
「しんべヱに言われるとは…」
「ぼくが言っちゃいけないのっ?」
不服そうなきり丸にしんべヱはほっぺたを膨らませた。
「ま、まぁまぁ、しんべヱ。きり丸もそんなこと言わないで」
二人の間に入った乱太郎は、再度かんにんぐぺーぱーに目を落とす。
「えーっと。それでは、『伝言"ゲーム"じゃありません、の段』のはじまりはじまりぃ~」
ひそひそ。
(乱太郎、ほうきどこだ?)
(こっちこっち。あ、しんべヱ!桶忘れてる!)
ひそひそ終了。