第2章 ほうっておけない質(たち)なんです、の段。
「とにかく、次にもしも募集があってもドクタケ城はやめといた方がいいぜ。大体、城主が張子の馬に乗ってるなんてカッコがつかねぇや」
「きり丸くんはずいぶんドクタケ城に詳しいのね。城主様なんてめったにお会いできるものじゃないし…もしかしてあなた…」
不思議そうにきり丸を見る椿に、土井先生と乱太郎ときり丸はどきっとした。
忍びであることは一般人にはバレてはいけないのだ。
「ちょっと待て」
土井先生がタンマのポーズを取る。
「「「「へ?」」」」
「お前もどきっとしろ!」
パカッと小気味良い音がすれば、しんべヱの頭に綺麗なタンコブができた。
「はい、どうぞ、戻って」
「……えっと?」
「椿さん、もしかしてあなた…の続きです」
「あ、そう、そうね、ありがとう乱太郎くん。それで…もしかしてあなた……」
ごくり。
四人は固唾を呑んだ。
「お父様がドクタケで働いてるの?」
ほっ。
としたのも束の間。
「うぅん、ちがうよ~。ドクタケはぼくたちの敵なの~」
ほよよんとした顔でしんべヱが言った。
「……敵?」
「うん、だってぼくたちにん「しんべヱ!!!!!!」むごむぎゅ」
乱太郎ときり丸の手によってしんべヱの口は塞がれた。
「…?」
何なんだろう、と首を傾げる椿に、土井先生が焦って話しかける。
「ええっと、それで、椿さん」
「は、はい」
再びぽっと椿の頬が赤く染まる。
そして土井先生をじっと見つめている。
「…大丈夫ですか?」
「はっ! あ、大丈夫です、ごめんなさい!」
「早くしないとお兄さんが帰ってくる、とおっしゃってましたね」
「あ…! そう、そうなんです。私、家を出てくるときに置手紙を書いてきたんです」
どうしよう、と顔を覆う椿に、乱太郎が言った。
「それじゃ別に問題ないんじゃないんですか?」
「いえ…その、置手紙を読まれないように、早く帰らなくちゃいけなくて」
椿が間に合うかしら、とため息をこぼすので乱太郎ときり丸は顔を見合わせた。
「置手紙を見られてはいけない、というのはどういうことですか?
「あの…その、実は…」