第1章 思い出したくないこと *秀吉視点*
目を覚ますと今までに見たことのない美しい花が咲く緑の丘…そして大きな川があった。
その横にはまだのん気に寝ている三成。
「おいっ三成!起きろ!」
うめき声はするものの、起きる気配は全くない。
俺はある話を思い出していた。
一度死海をさまよったことがある部下に話を聞いたことがあったのだ。
その部下によると、そこには今まで見たことのない美しい景色と大きな川が広がっていたと…
もし…俺の予測が正しければ…
一気に顔が青ざめた…
俺はもう一度のん気に寝ている三成を起こす
「おいっ三成!寝ている場合じゃないぞっ!」
しかし、反応は相変わらずない。
深いため息が漏れた、そんなとき
「日吉丸…」
聞き覚えのある低く優しい声がした…
思わず振り返ると川の向こうに男性が立っている
「その声は…父上?」
戦で亡くした大好きな父上が微笑んでいた。
「父上っ!」
俺は勢いよく川へと走る。
手を精一杯伸ばし、一歩足を踏み入れた
その時
腹部に鋭く重い衝撃が走った。
「ごほっ……ち…ち…うえ…」
視界が霞む中、涙が頬を伝う。
涙が零れ落ちるとともに、目の前が真っ暗になった…