第5章 M×A for MJbirthday
「俺、今まで、恋した事とかなくて…」
ちょっと俯きながら、
でもどこか、
…強さを秘めていて…。
「だから、にのりん先輩が、ちゃんと恋してるの見て…
良いなって…俺もああなりたいって…」
ぎゅっと俺の手を握って、
ぽつりと呟いた。
「そうか…」
握られた手を握り返せば、
笑顔。
ちょっと儚いけど
前見たときよりはずっと、
力強いもので…
「幸せにするよ…お前のこと」
そっと抱きしめれば
相葉はふふっと笑った。
翌日の朝。
今日は学校が休みだから、そのまま車で病院に向かう。
病室に入ろうとすると、
中から、すすり泣く声。
驚いて勢いをつけてドアを開けてしまった。
「相葉!?どうしたんだよ!?」
俺以上に驚いた顔をして…
「…せんせ、いっ…」
でもやっぱり泣いていて。
「どう…しよっ…」
「何がだよ?」
「お金…ないっ…から…払えないっ…」
なんだよ、そんなことかよ…
「俺が出すって…当たり前だろ?」
「…えっ…?」
目の前には、
心底驚いた、って顔の、
べそかいた、相葉。
「お前、ひでー顔してんじゃねぇーよ」