第5章 M×A for MJbirthday
A side
次の日も、その次の日も
「1時間遅くていいから」
その一点張りで、しかも課題が出来なくても補習の理解が出来るようにって、プリントを作ってくれてた。
普通は、1時間は長く寝られる訳だからありがたいと思うはずだ。
…分かってくれてたのかな、先生は。
眠れてないってこと。
先生は優しい。
だけど…、眠りたくないんだ。また嫌な夢を見るから。
また苦しめられるから。
もう終わったと思ってても、夢でまで苦しめられるから。
今までは週4だったバイトを、週6に増やした。
何かをしていないと、また呑み込まれてしまいそうだった。
苦い記憶に。
「…いば、おい、相葉。」
「あ…っ、すいません!」
「疲れてんのか?クマがすげぇけど…。眠れてんのか?」
慌てて大丈夫だと返事をして謝った。
体は疲れて眠りを欲するけど、心はそれを拒絶してて。
ぐるぐる考えてるうちに夜が開けてる…そんな毎日。
「…あんまり、無理すんな。」
本当に小さい声だけど、先生の優しい言葉。
胸がキュンとした。
それだけが、今の俺にとっての唯一の救いだった気がする。
でも…、その夏休みにも終わりが来てしまうんだ。