第5章 M×A for MJbirthday
M side
まぁ、そんなこんなで夏休みは過ぎて。
お盆休みの1週間を除いて、殆ど毎日朝から昼過ぎまで補習をして。
きっと、相葉はその後バイトに通ってて。
…俺の勘では、ほぼ毎日。
だから、毎日顔色悪くて。
それが…日に日に酷くなっていって…
でも、案じて声をかけたらまた。
また、ああやって謝られるから…
とにかく、ムリをするなとしか言えなかった。
勉強のフォローだったらいくらでもできた。
何日かでだいぶ打ち解けられたし。
プリントをもって行けば目を輝かせて嬉しがるし。
炎色反応の実験を見せたら凄い興奮して喜ぶし。
って、そんなに化学好きじゃないだろ!?みたいな…
…うん、やっぱりお前は笑っていた方がいい。
楽しそうな相葉の顔を見てると、俺まで嬉しくなるんだ。
そんな日々に終止符を打ったのは、
夏休み終了の一週間前にかかってきた
一本の電話だった。
発信元は、二宮。
『先生っヤバいどうしよっ!!』
らしくない焦りを現にして、俺の携帯から響く二宮の声。
「なに、落ち着けよ。どうしたんだよ」
『あっ、あの、ウチの学校の後輩がっ、』
「後輩が?」
『歩道で倒れててっ』
「はっ!?ちょっ…」
『いま救急車呼んだからっ』
「分かった。お前いまどこだ?」
『俺の最寄りから家までの道。』
「その…後輩?名前解るか?」
『あっ…なんだっけな駅でたまに会ってたけど』
「荷物に財布とか無いのか?その中に生徒証あんだろ?」
『じゃあ失敬…あ、あった!…』
「何て書いてある!?」
『えーと、2年の…相葉、雅紀だって…』
…ぇ?
『あ救急車来るからそろそろ!』
二宮の背後から聞こえるサイレン。
ドップラー効果によってどんどん音が高くなってくる。
「分かった。」
『俺、同乗するからね!』
「すまない。病院決まったら連絡寄越せ。」
電話を切る直前
救急車のサイレンが途切れた