第5章 M×A for MJbirthday
A side
アラームが起床の時間を告げる。
もともとあまり得意じゃない朝は、高校に入ってからさらに苦手になった。
バイトに学校、課題。
どれだけ時間があったって足りない。ろくに寝る時間もない。
何でこんなこと…って考えたりしたこともあったけど、それも無駄だって気がついてからはやめた。
家庭の事情だって分かってても、割り切れない部分だってある。
まだ俺はそこまで大人じゃないから。
やりたい事をやれないこの環境があまり好きではない。
だけど、そんなことを語ってみたところで、現状は何も変わらないから…。
「行かなきゃ…。」
行きたくないけど、やらなきゃいけないんだから。
やるしかない。
留年なんかしちゃって、こんな地獄のような生活が1年延びるのだけは勘弁してもらいたい。
それにしても、体がだるい。
熱とか、そういうのではないと思うんだけど…。
元々体が強い方ではない。
最近、ろくに寝てないからかな…?
そういや、夜ご飯もまともに食べてない。
なんとか重い体にムチを売って、自転車に跨る。
ふらふらの体で学校へと向かって、職員室で松本先生の姿を探した。
先に行って待っててくれと言われて、指定された教室へと向かう。
ずらっと並んだ机の中の1つに突っ伏した。
立っていられないほど、ではなかったけど、体は重い。
「ちょっとだけ…。」
寝過ごすヤツの決まり文句を残して、気が付いたら寝てしまっていたみたいだ。