第21章 小悪魔と掃除*
「………ねぇ、今度は僕が質問してもいい?」
『はぃ?』
「僕と君はどこかで会った事ある?」
ギクっ
『きっ気のせいじゃないですかね、こんなおばさん、どこにでもいると思いますよ。』
「……そう。僕の気のせいか。」
ぐぃいいい。
九条さんはいきなり私の頬を強くつねった。
なぜ、いきなりつねる。
『いふぁいれす………』
「君がまた僕に嘘をつくからでしょ。」
『!?』
「あの説教じゃ、まだ足りなかったの?」
(^ω^)BA・RE・TE・RU☆
『………九条さん。いつから気づいてたんですか?』
「最初からに決まってるでしょ。君、すぐに顔に出るよね。」
くっ、不確。
『九条さんは本当に性格が悪いですね。』
「否定はしないよ。楽にもよく言われてるしね。さて、君の面白い顔も見れたし、僕はもう帰るよ。」
『え?他の方に会わなくてもいいですか?』
「言ったでしょ。報酬を渡しに来ただけだって。ライバルと仲良くする気はないよ。それに……君とスキャンダルなんて御免だしね。」
『な、こっちだって願い下げだつーの!!💢』
九条さんは駅の方へ帰っていく。
今度会った時は必ずぶっ飛……あっ!
『九条さん!!』
「今度は何?」
呆れてだが私の言葉に振り向いて足を止めてくれた。
これだけはどうしても本人に言ってやりたかった。
『幼い頃の九条さんはとっても可愛いかったですよ!』
私はあの写真を見た時から、この言葉をどうしても本人に言ってやりたかった。
あの子供の頃の写真は本当に可愛かった。なんでこんな悪魔に育ってしまったのか、本当に謎である。
九条さんは一瞬目を大きく見開いて驚いた顔していたがすぐに元にもどり、手をひらひらさせながら「陸に、僕の写真を貴女に見せないよう言っておいて。」
と一言残し、駅の方にまた歩きだしてしまった。
反応うす………。
『本当に陸君と九条さんは双子なのか?』
彼女は知らない。
九条天が早歩きで駅に向かっていた事。
マスクの下は熱で赤く染まっていた事を。
昔の写真を見られて恥ずかしかった訳じゃない。
ただ君の笑った顔があんなに可愛いとは思わなかっただけ。
可愛いのはどっち。