第17章 TRIGGERと掃除*
「ねぇ、ちゃん。そろそろお兄さんの背中をサンドバッグにするのはやめてくれるかな。すごく痛いんだけど。楽屋に帰って来てからなんでそんなに不機嫌な訳?迷子になった時なんかあったの?」
『べーつーにー💢』
思い出すだけでも腹が立つ。
アイドルかなんか知らんが、初対面で顔が冴えないだの、他の女の子の方がもっと可愛いだの不愉快である。
自分が可愛くない分類であることなんて知っているし、化粧したり、着飾ったりするのは苦手だ。だけどさすがに他人にそこまで言われる筋合いはない。
『どうせ私は普通だよ💢可愛いくないですよ💢ふんだ!』
「えっ、なに?そーゆうこと?」
『はぁ?💢』
そういうことならと言いながら大和さんは私の方に向きを変え、ポンポンと頭を撫ではじめた。
『なっ!ちょっと!』
「誰に言われたかは、知んねぇーけど。お前さんは十分可愛いと、思うぞ。」
『なっ////』
「ほら、こんなふうに真っ赤になるところとかな。」
ニヤニヤと悪そうな顔だ。
こいつ絶対面白がってやってやがる。
この間の環くんといい、最近のアイドルはスキンシップが異常や!!
その眼鏡割ったろうか💢
ガチャと扉の開く音。
「おーぃ、もうそろそろスタジオの方でスタンバイしてくれってさー!」
そこへやって来たのは三月くんだった。
私はすかさず三月くんの元へ走りだし、助けを求めた。
「おっさん。何したんだよ💧」
「べっつにーw」
『ちくしょー、大和さんのくそったれ。』
私はまだ顔に熱を持ちながらスタジオに向かうのだった。