【R18 ハイキュー!!】幼なじみ 木兎光太郎との場合
第2章 おかんセッター赤葦の考察 その1
「ねえ赤葦、今日木兎のアレ、やった?」
3年マネがギャラリーを指さす。
アレとは恒例の「客席の何列目のどこどこにいる子が木兎のコトかっこいいって言ってたよ!」ってやつだ。
梟谷学園バレー部では、必須の作戦となっている。
「やってません」
「ウソ、珍しいじゃん。やってないのにあのテンションって」
たしかに珍しい。
試合途中まで低空飛行だったのに、いきなり強烈インナー決めてから気分がV字回復した。
もともと負けるとは思ってなかったが、結果は3-0、圧勝だった。
音駒に3-0は正直、珍しい。
グループ学校ということもあってよく練習試合はするが、あのしつこいボールさばきには、毎回辟易させられている。
それが3-0……
「なんか別の要因があったみたいですけど」
「なに、それ」
「……さあ」
「女の子以外に木兎のテンション上げる要因があったの!?」
「俺に訊かれても……」
「木兎について赤葦が知らないことなんてないじゃん」
いや、普通に知らないし。
「なんか……知り合いの子が来てたみたいですけど」
いつもと違うことといえば、そのぐらいだ。
「なに知り合いって。木兎の知り合いなんてくさるほどいるでしょ」
たしかに。
木兎さんは友達だけは多い。
あの外見とバレーでの雄姿に惑わされている女子も多い。
「幼なじみって言ってましたけど」
「女子?」
「はい」
「……うちの学校?」
「同じ3年ですよ、たぶん」
以前、一度だけ図書室で見かけたことがある。
試験前に一夜漬け勉強をしてる木兎さんを捜しにいったら、木兎さんと一緒にあの子がいて、木兎さんに勉強を教えていた。
長身の木兎さんの横にちんまり座っている小柄な姿がなんだか対照的だと思った。