【R18 ハイキュー!!】幼なじみ 木兎光太郎との場合
第5章 好きなのに「好きといえない」ということ
いきなり言葉をひったくられてびっくりしてると、私以上にびっくりした顔で凝視される。
「なんだよ、それ!? 誰? なに、おまえカレシいたの!??」
「ち、違う! いないよ、いない……まだ……」
「まだ? まだってなんだよ!?」
「だから、付き合おうかって考えてる人がいて……それが偶然光太郎が知ってる人だと思うから……」
「誰誰誰誰!!!???」
「音駒の子……バレー部の子でハーフの」
「リエーフ!!??」
頷くと、「なんでさ?」と速攻問われる。
「告白でもされたわけ?」
「……」
マジか……なんだよリエーフ。レシーブくそへたくそなくせにこういうことばっかりちゃっかりしやがって」
「なんか、いい子だよね、素直だし」
好感は持ってる。
計算とかない愚直そうなところに好感を持った。
……光太郎と似てるからかもしれない。
光太郎も普段は計算がなくて素直に感情を出す。
「まあ、いいヤツっちゃあいいヤツだけど?」
「……だけど?」
「……」
シャープペンをもてあそびながら納得いかないように唇を突き出していた光太郎は、
「ま、おまえがいいんならいいんジャン?」
広げてた教科書を片づけ始める。
「俺より背が高いのが生意気だけど……てか、ありがとな、コレ」
太い指の先で仕上がったプリントがふらふら揺れる。
「マネたちに訊くと後でアイス奢れとかいろいろ見返り要求されるからさぁ」
ぶつくさ言いながらも、バレー部はメンバー同士仲がいい。
マネージャーの子たちも光太郎が人として好きだからつい構ってしまうんだと思う。
そういうワイワイしたの、羨ましいな……なんて思うこともあった。
「マジ、サンキュ」
「早く出してきなよ。部活始まっちゃうよ」
「おう。またな」
光太郎がいなくなると、とたんに図書室が静かになる。
机の上の、光太郎が使った消しゴムのカスを集めてごみ箱に捨てる。
……一緒に、この気持ちもここに捨ててしまおうか。
実らないものを持ってたってしょうがないから。