第3章 出会い
「なんでよ」
ジト目で、不機嫌オーラ丸出しの浦原に聞くつられ。浦原の視線は、自然と彼女に馴れ馴れしく繋いでいる京楽の手。怒りが先に出てしまい、つられの言葉が届かない。そんな、必死な彼を横目で見て、ため息をつき口を開く夜一。
「山本総隊長より、命令がくだったのじゃ。十二番隊は、これから流魂街の外れにある森に、現れた虚退治じゃ」
「流魂街の外れ?そう…なら、しょうがないわね」
仕事なら。と、京楽と握り合っていた手を解こうとしたが、京楽は、それを許さない。それどころか、彼女の手を引っ張って、抱き寄せる。つられの頭は、真っ白になった。そして、彼女の耳元で、優しく何かを呟く。
つられは、嬉しそうに微笑んでから京楽のそばから離れた。
それを見て、浦原はつられの腕を引っ張りスタスタと行ってしまう。
「痛いっ!わかったから、行くから!ちょっと!痛いってば!」
「良いから!早く!」
文句を言いながら、浦原は彼女の手をけして離さない。
残された京楽、夜一、リサは、溜息が溢れる。
「あんた、つられになんてゆうたん?」
リサが、腕を組みながら彼に問い質す。
「いや?僕は、一言『淋しくなったら、僕のところへおいで』って、言っただけ」
その答えに、リサはアホらしい。と、呟いて隊舎へと戻って行った。
「あ、待ってよ!リサちゃん」
「来るな、アホが移る!」
「そんなぁ〜」
リサの後を追う京楽。
「全く…喜助もつられも…世話がやけるのう」
本日二回目の溜息を零してから、夜一は部屋に戻る。