第6章 家族だから
浦原が、仕事に行ったあとつられは、朝ごはんの片付けを、魅甘はお気に入りらしい縁側に腰掛けて、可愛いらしい足をパタパタと振っていた。
片付けが終わり、濡れた手をエプロンで拭いてから脱いで魅甘の隣に腰掛けた。
「暖かいわね」
もう、秋だというのに今日は、温かかった。
魅甘は、嬉しそうにつられの膝の上に頭を乗せた。
「甘えん坊さんね」
ふふ。と、頭を撫でてやると心底安心したのか、眠りについてしまった。
すると、つられの頭の中にある思い出が蘇った。
『もう、ホントにこの子は甘えん坊さんね』
寒い寒い部屋だったけど、あの人の膝の上が、手が、声までが温かった。すごく温かったの…。。。
『つられ』
アナタが私の名前を愛おしそうに呼んだくれた。
あ、アレ?でも誰だっけ?誰が…私の名前を呼んでくれたの?アレ?おかしい…一体誰が…。。。
「にゃー」
魅甘が、つられの頬から伝う涙を小さく温かい手で拭ってくれた。
ハッと、我に帰るつられ。
「ありがとう、魅甘」
お礼に、魅甘を抱きしめた。魅甘は、嬉しそうにぎゅーと、握り返してくれた。
「魅甘?天気いいし、お散歩しに行こうか」
つられの言葉に、うんうんと首を、縦に振る。
「さて、行こうか」
おー!と、拳を握り締めて上にあげる魅甘であった。