第5章 🎃ハロウィン🎃
〜10分前in台所〜
「あの頃の私と思わないでください」
手を払い、むぅー!と平子を睨みつける。そんな、彼女の怒り方が、可愛かったらしく思わず、抱きしめてしまう。
「だ!だからぁ!こういうことは!やめてって言ってるでしょ!」
ドンッ。と、力いっぱい突き飛ばすが、近くに棚があったのを忘れていて、ぶつかった反動で探していた鍋が棚の上から落ちてきてしまった。
鍋は、つられの方に落ちてくる瞬間に…。。。
痛いと感じないのもそのはず、平子がつられを守ってくれたのだ。
しかも、お約束。
顔がめちゃくちゃ近くてそのせいか死にかけたせいか、分からないが軽く走馬灯が走ったつられ。
そこに丁度、外でガンッ。といい音が聞こえてきた。襖を勢いよく開けて、第一声が。
「つられ!?大丈夫ッスか!?」
「喜助…」
つられは、平子の腕からスルリと、抜けてなんの迷いもなく浦原の胸板に飛び込む。
残された平子は、浦原に『後は、頼むで』と言ってから、仮装の包帯を全部取った。
廊下に出ると、浦原についてきた魅甘と、修兵と目が合う。
「アホらし…俺、もう帰るで」
つられの横を通り越す時に、彼女の耳元で囁く。
「俺は、お前のこと諦めたつもりはないで、今でも愛してる」
軽く耳朶を舐められて、慌てて浦原の後ろに隠れるのだ。
またな。と、手を振ってそのまま帰ってしまった。
「あの人…何のために来たんでしょ?」
ギュッ。と、浦原のドラキュラ用マントを握りしめた。
「?…どうかしたんです…ン」
最後まで言う前に、つられは浦原にキスをする。首に腕を、回して深く。
唇が離れ、突然のことに目を丸くして彼女を見つめる。
つられは、ウルウルとした瞳で浦原を見つめた。すると、浦原は、一言。