第5章 🎃ハロウィン🎃
「そんな表情しないでくださいよ、抱きしめたくなるじゃないですか」
また、殴られちゃうッスね。と、微笑む浦原につられは、無言で彼の厚くて優しい胸に飛び込んだ。
何もかも知っている様に、意地っ張りでホントは泣き虫で寂しがり屋な彼女の小さな体を抱きしめた。そして、耳元で。。。
「ボクは、アナタを幸せにする為に此処にいるんスね」
「え?」
「泣き虫の魔女さん」
上を向くつられのおでこにそっと優しくキスを落とす。
つられは、一言バカ。と、呟き再び彼の胸の中に収まる。
忘れ去られた魅甘と修兵は、そ〜っとその場から離れる。
そして、みんなのいる場所まで戻ってきた。
「おお!魅甘!つられのメシは、まだかのう?腹が空いて…」
「すみません!つられ…具合悪いみたいで、寝てます!パーティーは、お開きということで…申し訳ありません」
頭を下げる魅甘に、みんなしょうがない。と、大人しく帰って行った。
修兵と、魅甘が2人きりになった。
残りの料理などを片付けていた。
「修兵さんも、ごめんなさい。手伝わせちゃって…私1人で大丈夫だよ!それに、お仕事まだ終わってないんでしょ?ココは、私に任せちゃって!」
「わりぃな…じゃあ、帰るな。また、連絡する」
「うん!頑張ってね!」
またね!と、手を振ろうとするとその手を握られ視界がパッと暗くなり、キスされている事実に気付くのに少し時間がかかった。
「魅甘…俺、、、」
ーバサッ
背後から、紙束が落ちる音がした。
その音に驚き、修兵は振り返った。そこには、申し訳なさそうな阿近が立っていた。
「あ…わりぃな。邪魔した」
「いや、大丈夫だ。魅甘、またな」
「あ、うん」
修兵は、そのまま部屋をあとにした。
散らばった、書類を拾う阿近。魅甘も、手伝う。
「悪かったな…邪魔しちまって…悪気はない」
「いいよいいよ!大丈夫」
ニコッと、微笑む魅甘の笑顔が素直に可愛い。書類をすべて拾い集め阿近に、渡した。
「はい!あっくん」
「ありがとうな」
魅甘の頭を軽く撫でてやる阿近。そのまま彼は、隣の部屋で研究を始める。
頭を撫でられた時、突然のことで胸の高鳴りが堪らなかった。魅甘は、頬を赤く染めて、その場から暫く動けなかった。