第7章 変わりゆく自分
「櫻井...こいつと行きたいのかよ?」
雅紀が、真っ直ぐに俺を見る..
曇りのない、あの目だ。
......雅紀...そんな目で
俺のこと見るな..
俺は自分から目を反らせ、
「行かねーよ...まとわりつかれて、
迷惑...してんだよ..」
と言った。
雅紀がどんな顔してるのか、
俺はもう見ることなんかできなかった。
すると雅紀は、
「翔...そんなの嘘だ...
俺には分かってるよ...
翔がどうしてそんなこと、言うのかも...」
長瀬くんの反対側から、松岡くんが雅紀に近づいて、
「翔はね...お前のこと嫌いだって...
分かったら、さっさと帰った方がいいよ~...
悪いことは言わないからさぁ」
......雅紀...黙って帰ってくれ...
ここから、いなくなった方が..
成り行きを見ていた女の子の一人、
さっき俺にちょっかい出してきた娘が、
雅紀の側に歩み寄り、雅紀の顔をじっと見た。
「ねえ..あんたさ、翔くんのこと好きなの?
...だったら、諦めた方がいいよ~...
だってさ...」
そう言いながら、今度は俺の方に近づいてきたその娘は、
「私と翔くん、そういう関係なんだもん...ね?」
俺の横に来たその娘は、肩に両手をかけ、
首を傾げて俺にキスをした...
...雅紀が見ている、その前で...
.........
......心が......ちぎれていく...
「ひゅ~う///やる~翔~」
冷やかしの声が飛んでも、雅紀は何も言わない...
俺は、その子の腰を引き寄せて、
もっと深く口づけた...
.........もう、どうでもよかった...
...名前も知らないその子の舌先から、
ほのかにアルコールが香っていた...