第7章 変わりゆく自分
「翔!今度も、来て!迎えに行くから」
「うん...分かったよ...」
俺はそのまま雅紀と別れた。
彼の気持ちも、彼が語ったみんなの気持ちも、...嬉しくて、涙が出そうだった。
こんな俺のこと...
大切だって...好きだって...
そう言ってくれる、仲間の存在...
出来ることなら、あの場所に帰りたい。
また、みんなでくだらない話をして、
ふざけ合って、じゃれあって、
そんな時間を紡いでいきたい...
...でも俺は、みんなとは違うんだ。
あの日の、あの場所の、あの瞬間の記憶が、
時間が流れても尚、
俺の心と身体に黒く染みついていて、
離れるとこなんかない...
...口を塞がれ、両手を縛られ、
3人の悪魔が、代わる代わる俺の中の入ってきては、揺さぶられ続ける恐怖......
思い出すことも恐ろしくて、
でも、忘れることなんか出来なくて....
気が付いたら、ひとりの部屋で、
涙が後から後から溢れては零れ落ちた。
俺は、雅紀たちと友達でいられる資格がない。ましてや、好きなんて、そんなこと言ってもらっちゃいけないんだ。
.......何でだよ...
どうして、こんなことになったんだ...
俺だってほんとは、好きな仲間と、
騒ぎあってふざけあって遊びたい。
でも、どうしても、
あのことが、俺の邪魔をするんだ...
.....俺はもう2度と、
あの光のなかには、帰れない..
あのとき....消えてしまえばよかったんだ。
そしたら今になってから、
こんな悲しみ、知らずに済んだのに....
『雅紀..お願いだから、
俺の気持ちを、もう乱さないでくれ...』