第7章 変わりゆく自分
「大切なものが抜けていて...
それを埋める手段が見つからなくて...
それでも、どうしたらいいのか分かんなくて...」
雅紀が話す言葉を、俺は黙って聞いていた。
「翔がいないから...そこにいたはずの翔が、
急にいなくなったから...
俺たちは、集まっても、どこかで寂しかったんだ...」
「だから...翔はまた来なきゃダメなんだ!」
「...でも...俺は...」
「俺たちが、これからもいい関係を続けていくのに、
翔の存在って言うか...翔自身が必要なの!
来ないって言うなら、俺どこまでだって迎えに行くよ!翔の仲間のとこだって...
今まで、どうしてたらいいのか分かんなくて、
動くことができなかった...そんな自分が、
もう嫌なんだよ!」
「......」
雅紀の言葉が、俺の中に染み込んでいく...
「翔...好きだよ...ずっと好きだった...
これからも、その気持ちは変わらない...」
俯く俺の手を、雅紀がぎゅと握って、
自分の方を向かせた。
「もう一回言うよ!翔が好き!
俺もう、我慢しないから...」
真剣な目...いつも何かに一生懸命な目...
小さい頃から、ちっとも変わらない...
一寸の曇りもない...澄んだ目...
「...雅紀..俺..」
もしかしたら...
俺のこと、長い夜から、引きずり出してくれるのは、この目なのかもしれない...
...でも...
......俺は汚い...
こんな薄汚れた俺じゃ、
雅紀には似合わない...
雅紀には、もっと綺麗で...
素敵な人がいいに決まってる...