第7章 変わりゆく自分
「櫻井、よく来たな!」
俺が学校に行かない間も、
何度もノートを届けてくれたり、
『早く出てこい』と言ってくれた
担任の東山先生...
「いろいろ、ありがとうございました...」
「派手な登場だったようだな~」
「......」
先生は笑った。
クラスのみんなは、その様子をじっと見ていた。
「翔!!やっと来たんだ!!」
教室に入ってくるなり、声を掛けてきたのは斗真だった。
「ヤンキー軍団引き連れて、錚々たるご登校だったみてぇ~じゃん!見たかったな~...」
普通に茶化してきて...流石は斗真だ。
「...別に..見せんもんじゃねーし...」
ぼそっと言う俺に、
「いやいや、見せもんでしょ?
そういう意図があったって事じゃないの~?
一発で、お前にはバックがあるんだって、印象着けたでしょ~?...成功だったんじゃない?」
「......」
斗真の言う通り、俺が一番恐れていた、
事件の事を揶揄われるとこは、全くなかった。
加えて、他のことでも、必要がなければ、
俺に話しかけて来ようなんて、祝捷なやつは、
...いなかった。
それも仕方のないこと...
松岡くんたちと登校したことで、そっちに興味がシフトしてくれた感もあることは、ある意味感謝だった。
高校生たちにヤられた俺のことを、
興味本位にじろじろ見たりするやつは、少なくなっていたのかもしれない...
クラスの友達だけじゃなく、先生たちも、
俺のこと『腫物』のように扱った。
斗真や秀明は、変わらず接してくれたけど、
いつも一緒に居れるという訳にもいかず...
ポツンと一人でいるうちに、
必然的に、俺も変わっていった...