第7章 変わりゆく自分
「こいつが櫻井...」
「知ってるよ...櫻井病院の...
俺んちのばあちゃんが手術で世話んなったから///」
「あっ...そう...ですか..」
...何にも怖いものなんかないって、そう思っていたけど、やっぱりちょっと、ビビる...
捕って食われるわけじゃないって、分かってるけど。
「長瀬~...櫻井、怖がってんじゃね~かよ...」
「何だよ~!やんのかぁ~?」
俺は、そんな集団の真ん中で、
学校の門をくぐった...
中等部と高等部は、その先で校舎が違う。
「一人になるけど、大丈夫か?」
「...うん...大丈夫です...」
「盛大にセレモニーしといたから、お前に何か言ってくる奴なんかいね~だろうけど...」
「何か言われたら、俺らに言うんだぞ!」
「そんな奴は、タダじゃ置かねえからな!!」
...当然、その派手なやり取りも、
周りを遠巻きにしながら、足早に通りすぎようとする奴等への、パフォーマンス。
きっともう、学校中に、
俺が学校に来たことと、
その登校の仕方が、知れ渡っていることだろう...
こうして、俺は久しぶりの学校に来ることができた。
松岡くんの言った『守るから』という言葉の意味を、俺は身体で感じていた。
そして、本当に、有り難いって思うのと同時に、もう俺に、話しかけてくる奴も、いないんだろうな...
と思った。
別に、悲しくも、寂しくもない...けど...
俺の思った通り、
教室に行くと、水を打ったような静けさで、
俺は一人、ポツンと席に座っていた。
卒業式まで、後2週間に迫った、
3月の日だった...