第6章 神様なんか、いない
その日は塾の春期講習があり、
終わったのは9時を回っていた。
いつもは母親が車で迎えに来るけど、
その日は修が熱を出していて、
俺は、始めから自転車で来ていた。
商店街の外れのコンビニに寄り、
修の好きなゼリーを買ってってやろう思っていた。
駐車場の隅にたむろしている高校生が目に入り、イヤだな...と思ったけど、気がつかない振りをした。
少し漫画の立ち読みをしてから、
ゼリーと飲み物を買い、帰ろうと自転車のところへ行こうとすると、
さっきの高校生たちが俺の自転車を弄っていた。
明らかに、こんな時間に、
つるんでいるような感じの3人で、
出来れば関わりたくないけど、
自転車を置いて帰るわけにも行かず、
俺は、しぶしぶ声を掛けた。
「すみません...退いてもらえますか?」
すると3人は俺のことを舐めるように、
上から下までジロジロ見てから、
「A中学の優等生が、こんな時間まで遊んでたら、ダメじゃな~い♪」
「優等生は、塾の帰りかな?」
「ママのお迎えはどうしたのぉ~?」
....チッ////面倒くせっ...
俺の舌打ちに、
「何だよ!文句あんのか~?」
後ろに回ったひとりが、俺のズボンのポケットから携帯を抜き取った。
「返せよ!」
「ほ~ら、こっちだよ!」
3人は怒る俺を笑いながら、
俺の携帯を投げる。
ひとりが携帯を持ったまま、
走って逃げ出した。
その前に、二人が目配せしてニヤリと笑うのに気付いていたら、深追いしなかったのに...
完全に頭に来ていた俺は、
「っざけんなよ////」
頭に血が登ったまま、そいつを追いかけた。
当然、俺の後ろから他の二人も追いかけてきた。
俺は、携帯を持ったヤツを追いかけて、
公園の中まで走って行ったんだ。
......あの場所へと向かって....