第5章 大人になるということ
......思いもかけない、
まさかのカズくんからの告白...
「...俺は...」
なんて答えたらいいのか...
突然すぎて、そんなこと、考えたことなくて...
するとカズくんは、
「思ってもみなかったでしょ?そんなこと...
...そう顔に書いてある♪」
カズくんにそう言われ、
思わず顔を撫でて確認する俺に、
カズくんは、楽しそうに笑った。
「...俺のこと、揶揄ったの~?」
ちょっと膨れる俺に、
「そんなことないよ...ほんとに、そう思ってたから、言ったんだよ...」
気が付いたら俺のこと好きだな、
ってそう思っていたこと。
男なのにおかしいんじゃないか?
って、自分でも思って、否定していたこと。
違う中学に行くって知って、寂しいって思う気持ちが、やっぱり俺のことを、好きってことだって、認めた...
そうカズくんは言った。
中学に入って、クラスの女の子に告白されても、
いつも俺のことを思い出していたって...
「悪いけど、比べちゃってさ...
やっぱり、翔くんがいいな...って...
だから、その子にはごめんなさい、したんだ」
「カズくん...俺は...」
「翔くん!正直、分かんないでしょ?
好きとか?嫌いとか?
だからさ、俺の言ったことは気にしないでいいからね」
カズくんは、さっきと変わらず、
キラキラした綺麗な目で俺のこと見ながら話してた。
「だからね、なにか答えなきゃ、とか、
そんなのいらないよ...気持ちを勝手に伝えたのは俺だし、それに、しっかり答えて欲しいなんて思っちゃいないから...」
「...うん...」
俺の目を見たまま、カズくんが言った。
「大人になったら...分かるよ...きっと...」