第5章 大人になるということ
それから、あっという間に季節は過ぎ、
もうすぐ2年生になろうとしていた。
そんなある日。
テストのために活動していなかった、
部活が始まり、俺は斗真と、
部室に行くことに...
すると、斗真が、
「俺さ、明日の土曜日、
真由子さんと会うんだ~♪」
と、嬉しそうに言ってきた。
「真由子さん??」
「ほら、映画のヒロインの...」
頭の中に、斗真とキスシーンを演じた、
大人っぽい高校生が浮かんだ。
「あ~...って、お前、まだ付き合い、あったんだ!」
「うん..LINEでずっと...」
「デート?」
俺の質問に、斗真はパッと赤くなった。
「なあ、デート、だよな?これって..
映画行くって、デートだよな?」
まあ、デートの定義なんて分かんないけど、世間一般で、男女がふたりで映画って言えば、デートなんだろうなぁ...
「やるなぁ、斗真!どうだったか、
月曜、教えろよな!」
「おう!俺、頑張るわ!」
って...何をどう頑張るのか知らないけど、
張り切っている斗真は、
ちょっと面白かった。
斗真が、デートしているだろう土曜日。
俺は参考書を探しに本屋に寄った。
何の気なしに中を歩いていると、
見知った顔が...
「カズくん!」
声を掛けるとカズくんは、
驚いて俺を見てから、
可愛い顔してにっこり笑った。
「翔くん!久し振りだね~!!」
カズくんは、ゲームの攻略本を見つけに来たと、言った。
「翔くんは?...参考書か~相変わらず、勉強、頑張ってるんだね~」
ふたりともお目当ての本を購入し、
マックに寄った。
カズくんは、坊主だった髪が伸びて、
カッコ良くなっていた。