第5章 大人になるということ
男子校によくある、男同士...
所謂、同性愛者の片割れを、俺がやるようで。
問題なのは、そこにキスシーンがあることだった。
...どうしよう...
......どうしよう...そんなこと、出来る訳ない!
.........
斗真の相手役は、例のごとく、
女子高の映画部の女の子にお願いしてあった。
高校生のその人は、凄く大人びていて、
綺麗な人で。
中学生の俺には、眩しいくらいだった。
「翔、俺、あの人とキスシーンあるんだぜ~
ホントにしてもいいのかな~...」
斗真は、もちろんやる気満々で。
「あほらし///」
俺は興味ない感じで相手にしなかった。
撮影が進み、いよいよ、斗真とお姉さんのキスシーンを取ることになった。
「ホントにしなくていいですから~、振りで。」
直前まで近づくシーンの後に、
引きで頭が重なるように動くだけなので、
しているようには見える感じ...
斗真がマジで悔しがっているのが面白かった。
で...
俺と同性愛の相手、
松岡先輩とのキスシーンの撮影になった。
先輩の部屋で、俺が畳に押し倒されて、
先輩が覆いかぶさって、キス...
もちろんこれも、しなくていい、ってことで。
俺はホッとしていた。
リハーサルと、テストをして、
いよいよ本番...
リハ通りに進み、押し倒された俺が、
先輩を受け入れて目を閉じる...
ここまではリハと同じ...
ところが、本番で先輩は、本当に俺に唇を押し付けてきた。
えーっ//////うそだろ?何でだよ///
「ハイ、カーット!OK~よかったよ~」
俺は先輩に手を引かれて立ち上がった。